トランスジェンダーに対する、偏見にもとづく意見表明が目に付く昨今において、この本が出版されることの意義は大変大きいと感じています。社会問題化されるまでのこれまでの歴史を理論的に示したうえで、実際に当事者の「生活史」を記述し、この社会における当事者たちの困難をどのように考えればいいのか、近年のバッシングなども踏まえたうえで可能性を提示します。著者自身も長年トランスジェンダーとして生活しているからこそ書ける一冊で、大変貴重な本だと思います。
----以下、公式より引用----
日本における性同一性障害にもとづく社会問題化の様相およびその背景について明らかにし、また、ジェンダー形成の観点から、当事者たちが直面している困難が生じるプロセスや、その背後にある社会構造の問題を明らかにする。
はしがき
第1章 トランスジェンダーの社会問題化
第1節 用語――トランスジェンダー・LGBT(Q+)・SOGI(ESC)
第2節 ラベリング理論と構築主義アプローチ
第3節 一九九〇年代後半から二〇一〇年代までの様相
第4節 社会問題化と〈中心―周縁〉化
コラム① りりぃの生活史――生い立ち
第2章
トランスジェンダーの生活史調査
第1節 トランスジェンダーの病理/脱病理化
第2節 調査の概要
第3節 3名の事例分析
第4節 当事者たちのリアリティ
コラム② りりぃの生活史――性別越境と性風俗
第3章 トランスジェンダーの教育支援
第1節 教育支援とジェンダー形成
第2節 4名の事例分析
第3節 ジェンダー/セクシュアリティに関する意識
コラム③ りりぃの生活史――学びと研究
第4章 トランスジェンダーの二重生活
第1節 女装者論と理論的枠組み
第2節 2名の事例分析
第3節 女装者たちが直面する困難
コラム④ りりぃの生活史――海外渡航
第5章 トランスジェンダーのジェンダー形成
第1節 まとめ――主流となった社会問題化と当事者たちの困難再考
第2節 今後の展望――差別の客体から変革の主体へ
第3節 本書の意義と限界
あとがき