甲南読書会によるZINE『回遊』の第三号です。
『回遊』は、甲南大学のブックカフェで集まった学生たちが中心となり制作しているZINEで、文学・社会学・哲学等に関する特集と個々人のコラム(エッセイ、小論、小説、詩、絵、写真など)が集まっており、「多様なものが多様なままに」載っています。
今号の特集は、ナチス研究の第一人者であり、『ナチスは「良いこと」もしたのか?』や『<悪の凡庸さ>を問い直す』の著者でもある田野大輔インタビューです。SNSを中心にたびたび話題に上がる「ナチスは良いこともした」という言説に対して、何がそうさせるのか、それに対してどのように抗っているのかなどを著書と絡めて語っていて、非常に面白い内容です。
中村達『私が諸島である』(書肆侃侃房)を扱った甲南読書会の様子は、比較的簡単ではない本書の内容も、読書会でかわされる内容を読んでいると、なんとなく概要がつかめたり、自分がどう思う(思った)のかと照らし合わせたりして読むのにも非常にいい記事です。
その他、各種コラムのコーナーでは、西田博至による「ジョナサン・グレイサー論」や、京都の古書店をめぐる記事など、今号もバラエティ豊かな内容を収録しています。
■目次
・特集1 『ナチスは「良いこと」もしたのか』『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』 田野大輔先生にインタビュー』(6)
・特集2 【・・・と〇】×『私が諸島である』読書会(19)
・コラム 甲南読書会及び『回遊』について (33)
・コラム ゆるやかにつながる――読書会と僕―― 肥前諒(34)
・コラム 九鬼周造の日時計 神戸⇆京都 巽香連(36)
・コラム 日々是古本――京都古本巡り 林大地(40)
・コラム 築百年越えの家に暮らし始めました 三邉香織 (50)
・特集3 〈留年〉を考える――経済学部6年生にインタビュー(52)
・コラム ほんとうに正しいことはいつも途中にある 趙健博 (62)
・コラム 祖母と爪切り 田村駿弥 (64)
・童話 眠い火の子 りんりん (65)
・コラム ソープ嬢となった私の旧友について 匿名 (66)
・コラム Ambient+ 草地栄紀 (68)
・コラム オスタルギーとアウシュヴィッツ 杉山精一 (72)
・コラム 嘔吐と調律 ジョナサン・グレイザー論 西田博至 (74)
・コラム 2010年代のドイツの小説が主にナチス時代をどう描くのかをめぐって Y (80)
・小説 壁と穴 田村駿弥 (90)
・小説 手紙 谷口創 (92)
・小説 布団を売りました 多留樽 (94)
・俳句 中谷拓夢
・小説 落馬した蝶 柳川弘樹 (99)
・次回予告 (102)