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初期大江健三郎論 -1957-1972全著作精読-

5,280円

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「戦後」を代表する作家の原点と核心 小説家としてだけでなく、戦後の思想史を考えるうえでも重要な書き手としてつねにその言葉が注目されてきた大江健三郎。その初期にあたる1957年から1972年の小説、エッセイ、対談や寸評などあらゆるテクストを精読し、戦後民主主義というフレームのなかで描かれてきた作家像をあらためて問い直す。大江の葛藤と真摯に向き合い、その現代における新しい解釈への可能性をひらく、俊英による圧倒的な大江論。 ■目次 序章 1 〈大江健三郎〉という作家 2 エッセイの方法と小説の方法/倉橋由美子 3 「死者の奢り」の冒頭 第一章 始まりとしての「奇妙な仕事」 1 「僕」と砂川の警官隊 2 荒正人による「やや虚無的な心情」という評価の意味――「雪どけ」以降の時代のなかで 3 「建築中の建物の鉄骨」が象徴するもの――MSA協定と一兆円予算 4 狂犬病予防と「犬殺し」の「生活意識」 5 「僕」を対象化する視点 第二章 「飼育」における「抽象化」の実践 ――一九五七年における「戦争」のリアリティ 1 「飼育」と〈戦争〉の関係 2 「実感」とファシズムに関する丸山眞男の議論 3 「新しい日本文学」に対する橋川文三の批評意識 4 江藤淳と加藤秀俊の「実感」論争、あるいは大江における「抽象」の意味 5 「飼育」における「抽象化」の実践 補論――保田與重郎のロマン的イロニー 第三章 《玉音》表象と戦後民主主義アイデンティティの形成 ――一九六〇年前後のエッセイにおける「思い出」をめぐる言説 1 敗戦を表象するパフォーマンス 2 仮想される「天皇」の「声」――『遅れてきた青年』 3 戦後民主主義への擬態 第四章 「戦争体験論」の意味――橋川文三と『われらの時代』 1 「戦後世代の精神構造」に対する橋川文三の視点 2 「飼育」に対する称賛から、『われらの時代』に対する批判へ 3 橋川文三と第二次「わだつみ会」 4 『われらの時代』と「戦争」の記憶 5 『われらの時代』における「朝鮮人」と「戦後派」 第五章 「われらの性の世界」と一九五九年のリアリティが絡みあうところ ――『われらの時代』に関するいくつかの批評 1 「世代」に関する議論のなかで 2 『われらの時代』と一九五九年のリアリティ 3 「われらの性の世界」に描かれた「性的な存在」の可能性 4 小説「性的人間」に向かって 第六章 「セヴンティーン」「政治少年死す」における投企としての〈自殺〉 ――「自瀆」が「恒常のオルガズム」に転ずるとき 1 作家自身による解説と小説受容 2 「民主主義」をめぐるジレンマ 3 「恒常のオルガズム」としての「大樹木」との一体化 4 投企としての「自殺」 第七章 「スパルタ教育」における恐怖と結婚 ――「下降生活者」「ヴィリリテ」の男性同性愛表象と、〈生長の家〉の運営形態を参照して 1 「スパルタ教育」における「結婚」の虚構性 2 「下降生活者」「ヴィリリテ」における男性同性愛表象 3 「若いカメラマン」の強迫観念と生理現象 4 「脅迫者」の固有性――成長の家(谷口雅春)との比較から 5 「セヴンティーン」「政治少年死す」の「おれ」と「谷口雅春」 第八章 『ヒロシマ・ノート』における「原水爆被災白書」の思想 ――「被爆者」について語ることと、その〝批判〟に対する意識のあいだ 1 「プロローグ」に見られる書き手としての意識 2 原水爆禁止世界大会と「白書」作成運動 3 ひとりの被爆者のなかでの時間の累積 4 「沖縄の被爆者」への視点 第九章 「声のない」呼びかけを聴く ――『個人的な体験』における規範への意識と、規範を差異化する身体 1 「赤んぼう」はいかに「鳥(バード)」と関わるか 2 「鳥(バード)」における社会的規範への意識 3 「深甚な恐怖感」を覚える瞬間 4 抑圧される生への視点 第一〇章 『万延元年のフットボール』と日本近代化論 ――複数的な「時」の重なりに向けて 1 「日本近代化論」の歴史観 2 『万延元年のフットボール』と中江兆民『三酔人経綸問答』 3 「自殺」した「友人」と「曾祖父の弟」、あるいは「鷹四」に重なる「百年」の時間 第一一章 『沖縄ノート』における歴史意識の交差 ――新川明の「沈黙」に吸引される言葉 1 『沖縄ノート』と反復帰論 2 「沈黙」に吸収される言葉 3 『沖縄ノート』における「新南島風土記」の受容 4 伝達される「拒絶」/変成される地図 5 「沖縄の友人」との非対称性に対する認識 第一二章 『沖縄ノート』の自筆原稿を読む ――「あまりにも巨きい罪の巨塊」という言葉の生成と、その意味 1 『沖縄ノート』と沖縄「集団自決」裁判 2 文学としての『沖縄ノート』 3 『沖縄ノート』における「あまりにも巨きい罪の巨塊」という言葉の生成 4 「犠牲者」との対関係 終章 そして、「みずから我が涙をぬぐいたまう日」へ 1 三島由紀夫による割腹自殺事件と「セヴンティーン」 2 沖縄と日本国憲法 3 われらの「狂気」を捉える――「詩の言葉」に向かって 4 敗戦経験を生きることとしての「癌」 おわりに あとがき 初出一覧 人名索引

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